<第1回>算数・数学の取扱説明書
算数や数学の応用題ができない子どもたちには国語力がない!」と発言する教育者が最近増えていますね。
中には、「国語力=数学力」とおっしゃる方まで登場しています。
私もこれが真実であると考えていた時期がありますし、現在もこれが間違っているとは思いません。
しかし、「本当に算数・数学は国語力なのか?」
わたしは子どもたちを指導している中でこんな現象をよく目にします。
国語・英語・理科・社会の成績は良いのですが、算数・数学だけが苦手な子。
反面、国語・英語・理科・社会の成績はそこそこなのですが、算数・数学は得意な子。
この相反する現象を目の当たりにしていると、なかなか「算数・数学は国語力!」と言いきってしまうことはできないなぁと思うのです。
国語力という言語に関する知識はどの教科においても必要なものです。
算数・数学においても問題が文章で書かれているわけですし、ことばを使っても思考するわけですから当然のように言語の知識が必要となります。
しかし、先ほどの相反する現象をよく観察していると、算数・数学の得意不得意の原因が単純なものであることがわかってきました。
それは、算数・数学の問題の取り扱い方を知っているか知らないか、そのただ一点だったのです。
ある時、「うちの子、算数・数学がなかなか難しいみたいで……」と話すお母さんの子に算数・数学の問題の取り扱い方を学ばせたところ、算数・数学の成績がもっともよくなってしまいました。
その後の経過観察でも、算数・数学の成績が特に悪化する様子はなく、以前よりも確実に成績がよくなっていました。
算数・数学の成績の良し悪しは国語力だけの問題ではなく、国語力があるのはもちろんのこと、算数・数学の問題の取り扱い方、いわば数学語とでもいうべきものを理解できるか否かで決まっているようです。
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